京都の地図
京都の地図(きょうとのちず)
2015年の最初の更新として、地図について書いてみます。
京都御苑 縣井で少し触れましたが、昨年2014年10月に長期間の休みを頂くことが出来、再び京都を訪れました。2008年5月の休暇に京都へ出かけたことが、このブログを始める契機となりましたが、それ以来の訪問となるため、それなりの準備を2014年4月から行ってきました。京都御所 その7を書いたのが7月6日で、それ以降旅行が終了するまでの3ヶ月間はいろいろな用意のため忙殺されブログの更新を見合わせることとなりました。ここではその間に行ってきたことを少し書いてみます。
恐らくお気づきになっている方は少ないと思いますが、本ブログの右側に「地図上への表示」という機能を掲載しています。これは既に訪問しブログで書いたこと、あるいはこれから掲載予定の事柄の位置を地図上に表示するものです。なかなかブログの更新と共に地図の更新が出来ないため、大体1日分の訪問が終了すると地図のほうの更新も行うという状況です。 「訪問順表示」は2008年5月10日の第一日目から、現在書きかけている2010年1月17日、そしてこれから書く予定の2012年1月23日までの、その一日に訪れた場所を表示するものです。既に記述済みの部分(赤いバルーン)をクリックすると、新たなウインドウが開きその箇所の写真と共に内容を書いたブログへのリンクが付いています。なるべく多くのものを一日で見るようにスケジュールを組んでいるため、ある程度の狭い範囲を重点的に見ています。もし旅行の予定があるようでしたら、訪問経路のご参考にお使い下さい。
「五十音順リスト表示」はこれまで訪れた場所をアイウエオ順に並べたものです。名称は分かっているけど場所が分からない時にお使い頂けるように作ってみました。 「全訪問地表示」は訪問した全ての箇所を地図上に表示したものです。(表示速度を上げるため現在は所在地別に分割しています。)今までにどこに行ったか?また、どのあたりは未だ訪問していないかを確認するために使っています。直ぐにお気づきになるように、京都市の中心部分が空白となっています。この部分については平安京造営から室町時代の応仁の乱あたりまでの歴史を勉強してから訪問した方が面白いと考えております。そういう理由なので、現在のところはまだ訪問の予定を組んでおりません。この他にも、比叡山、山科や京田辺、木津川などの南山城には全く足を踏み入れておりません。特に京都府の南部は移動手段をよく検討し複数日かけて訪問しないと無駄になってしまうため、保留としております。また志明院、愛宕神社、淳和天皇陵、金蔵寺、柳谷寺などへの訪問は、それだけで1日仕事となってしまう上、この頃は体力的にも無理ではないかと考えるようにもなっております。そういうことで、主だった箇所を埋めるだけでも、あと数年から10年は必要、完全制覇などは夢のまた夢だと認識しております。
今回の休暇では、1)鳥羽から淀へ、2)伏見から淀・八幡・樟葉へ、3)久世から久我・羽束師へ、4)三宅から修学院・一乗寺・白川へ、5)御所から鞍馬口へ、6)桂から松尾・嵯峨へ、7)鳴滝から嵯峨・太秦・御室へ、8)桂から向日・長岡京、山崎へ、9)島本から水無瀬・山崎・天王山・梅津・桂へ、10)松尾から葉室・樫原、桂へ という10日間でした。途中で台風18号と19号に見舞われるなど、日程的には恵まれずスケジュールも予定の80%程度しか消化できなかったと考えております。それでも今までと重複部分はあったものの、京都の西側にかけて大きく空白であった地域をかなり埋めることができたのが大きな収穫でした。2014年に訪れた箇所を上記3つの地図上に反映させるためには、写真等の整理を行わないとならないため、もう少し先のことになるでしょう。
さて話しを今回の本題である京都の地図に戻す。上記の通り訪問した箇所を示すために、ブログに地図機能を公開してはいるが、「どこを訪問するか?」を決めるところから地図の作成が始まっている。すなわち旅のスケジュールを組むために、地図の整備に取り掛かる。京都市の中心部は別として郊外に出ると公共交通機関の利用が少なくなり、どうしても徒歩での移動に頼らざるを得なくなる。今いる箇所から次まで歩いて何分かかるかが分からなければ、一日で見ることのできる範囲が限定できないからである。
地図を作る上で、最初に集めなければならない情報は「何処に何があるか?」ということである。そのような情報を得るために、昔は市販の地図やガイドブックなどを使用していた。しかしそれらに掲載されているものだけでは、どうしても現在の人気のある観光地や商業施設に偏ってしまい、京都の歴史について考えるのには物足りない。その後、インターネットに掲載されている旅行記や公開されている情報を参照して、旅行のスケジュールを組むようになっていった。しかし、同じ場所を訪れた人が、皆同じような内容を書いていることに気が付くようになる。時には先に書かれた間違った情報、特に年号や人名など、を信じ明らかに誤った内容を無意識に拡散しているものも多々見かける。またWikipediaに書かれていることをそのまま引用しているものもある。引用は簡単であるが、ソースを明らかにせずに書いた時点から、書いた者の責任となる。Wikipediaの全ての記述が正しいという保証がなされていないので、特に使用する際には検証が必要である。恐らくこのブログ内にも不適切な記述が多くあることと思う。気が付いたところはなるべく訂正を行うようにしているが、なかなか量が増えてくると、どこで何を書いたか分からなくなる。そのため新たに書いて行くものについては、よく確認して書くように心がけている。もし昔書いたブログと新しい記述に矛盾があるようならば、新しいほうを参考にして下さい。一応、ネット上だけでは正確なことを確認できないと考え、現在では出版された書籍で確認することを習慣付けるようにしています。
そういう訳で地図やガイドブック以外で信頼できる情報を集める。最初に使用したのは、京都市が作成した「京都市歴史資料館 情報提供システム フィールド・ミュージアム京都」である。これは主に京都市内にある(あるいは、かつて存在したが現存しない)史跡石標と道標を集めたデータベースで2014年12月現在更新が続けられている。地図上に史跡石標・道標がプロットされているので、どの位置にどの石碑があるか分かりやすい。ただし更新履歴を見ると、「史跡地図には未記載」という記述が見られるため、2005年4月に運用を開始した時点の約1000件については地図上に表示されているものの、それ以降追加された約500件に関しては地図から探すことができないと考えたほうがよさそうだ。このデータベースの優れている点は掲載する件数(約1500件)の多さだけでなく、GPSで測定した緯度経度も表示している点、そしてそれらをCSV形式で公開している点である。2014年10月21日に世界測地系での提供を開始したようだが、当初は日本測地系での表示であったため、今回の地図作成でも国土地理院の測量計算サイトの世界測地系座標変換 (TKY2JGD)を使用して一括変換している。
ここで扱っている史跡石標や道標は道路に面した場所に設置されることが多く、当初の携帯用GPSで測定した座標をGoogle Mapのストリートビューで確認してみるとやはり若干の違いが出てしまう。できるだけ現地で探す時間を省くため、予め訪問する史跡石標や道標については、事前にストリートビューで確認し地図上の緯度経度を調べておくほうが良いと思う。また京都市が作成したものであるため周辺の市町村のものは原則として掲載されていない。例えば向日市・長岡京市・八幡市や大山崎町に入ると情報が一切なくなってしまう点が非常に残念である。
次は「京都・山城 寺院神社大事典」(平凡社 1997年刊)。既に2014年5月に、京都・山城 寺院神社大事典で取り上げているので、ここでは概略を記すだけとする。この事典の基は、「日本歴史地名大系」の26巻「京都府の地名」と同27巻「京都市の地名」である。「日本歴史地名大系」の初版が出版されたのが1981年なので、刊行後10年を経て「京都・山城 寺院神社大事典」として纏められたことが分かる。凡例でも「新たな視点で取捨を行うとともに増補し、記述内容もその後の史料発掘と新たな研究の成果を取入れて修正、加筆した」と述べている。 「京都・山城 寺院神社大事典」が対象としている範囲は、京都市11区、宇治市、城陽市、向日市、長岡京市、八幡市、乙訓郡大山崎町、久世郡久御山町、綴喜郡山城町・田辺町・井手町・宇治田原町と相楽郡山城町・木津町・加茂町・笠置町・和束町・精華町・南山城町としている。これは刊行された1997年の行政区であり、この後の2005年には北桑田郡京北町が京都市右京区に編入され、さらに2007年には相楽郡山城町・木津町・加茂町が合併し、木津川市が新設されている。京都府における市の新設は昭和52年(1977)の八幡市、平成9年(1997)の京田辺市、平成16年(2004)京丹後市、平成18年(2006)南丹市に続くものである。市制化に伴い地名の変更も行われている。大まかには旧木津町は旧町名を使用せずに大字表記に、旧加茂町の町名は南加茂台を除いて「加茂町○○」に、旧山城町も「山城町○○」と改めている。つまり大事典が編纂された後の町名変更であるため、所在地の表示にも一部修正が必要となる。
「フィールド・ミュージアム京都」では史跡石標・道標を緯度経度で表示しているが、「京都・山城 寺院神社大事典」では町名を頼りとするしかない。その上、上記のように地名が変更されている場合は、現在の町名に一度直す手間が発生する。このあたりのアップデートがなされない点が書籍からの情報の面倒な点でもある。今回作成する地図の位置は世界測地系を使用した緯度経度の座標データとするため、ここでは所在地からジオコーディングが必要となる。
所在地情報も大まかなものがあるため、番地レベルでのマッチングができなかったものも多くあった。また京都市の中心部のような通り名と町名を併用した所在地ではGoogleMapやYahooMapのジオコーディングには限界があるのかもしれない。今回は、上記地図システムではマッチングしないデータに関しては「ジオどす」を使用してみたが、中々良い結果を得られた。 「京都・山城 寺院神社大事典」は先の大項目のみを取り上げることとする。総索引では1800件近い項目があったが、大項目のみに絞り込むと、772件となった。この内、154件は既に現存しない寺院神社である。
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