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青蓮院門跡 その4



天台宗 青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき) その4 2008年11月22日訪問

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青蓮院門跡 相阿弥の庭

 残念ながら長屋門から青蓮院に入ることはできない。「粟田御所 青蓮院門跡」という提灯のかかる門から境内に入り、玄関を上がる。反時計回りに入母屋造桟瓦葺きの宸殿から廻っていく。宸殿南庭には右近の橘、左近の桜が配されている。もともとは御所の庭と同じく白砂が敷かれていたが、今は苔の庭となっている。この苔の上に置かれた無数の青色LEDが一定間隔に点滅し、南庭の先にある白壁には雲の流れを現したような青色の映像が投影されている。この方形のシンプルな南庭では、暗闇の中に浮かび上がる青い光によって宇宙空間が持つ永続性のようなものを表現しているのだろうか?

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青蓮院門跡 相阿弥の庭
2008年5月16日撮影
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青蓮院門跡 相阿弥の庭

 次に入母屋造桟瓦葺きの小御所から客殿の華頂殿に廻っていく。この部分は夜間特別拝観の目玉となる相阿弥の庭の眺めが美しい。昼間の庭園の印象とはかなりが異なっている。半円形の切石二枚で作られた跨龍橋やその奥の築山に置かれた石灯籠、龍心池の中央に沐浴する龍の背を表現するように置かれた巨石などに光が当てられているため、昼間より庭の構成が分かりやすくなっている。特に背景となる竹林がライトアップされているため、昼間は濃い緑の中に埋没している石灯籠が浮かび上がっているのには驚きを感じる。これらの光景は眼では見えるものの、残念ながら写真として残すには使用しているカメラのISO感度が低すぎるようだ。

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青蓮院門跡 宸殿南庭
2008年5月16日撮影
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青蓮院門跡 宸殿南庭
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青蓮院門跡 宸殿南庭
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青蓮院門跡 宸殿南庭

 庭に下りる。この時期は紅葉した木々を際立たせるために赤色の光を無理に当てている事例を良く見かける。寒色系の宸殿南庭とは対照的に、相阿弥の庭に面したライトアップは暖色系の光を用いている。紅葉を殊更に強調する訳でもなく、一体感を保った庭の中の樹木として見せている。好文亭と小堀遠州作と伝わる霧島の庭を過ぎ、拝観順路は庭の東側の斜面の中に入っていく。後でGoogleMapを使って調べると、かなり十樂院上陵に近づいていたようだ。やがて竹林の中に、日吉社の石の鳥居が現れる。この辺りは白色のライトアップが行われ、青々とした竹の生命力がよく表現されている。また普段見慣れた竹林が、こんなにも幻想的なものに変わるのには驚かせる。これは嵯峨野のライトアップでも感じたことである。

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青蓮院門跡 竹林
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青蓮院門跡 青不動明王像

 暗い足元に気をつけながら斜面を下りていくと本堂の宝形造の屋根が見えてくる。この方三間の小堂は西側を正面として宸殿南庭に面している。本尊「熾盛光如来」の曼荼羅が厨子に納められている。そしてこの本尊の裏側、東側には国宝の絹本着色 青不動明王二童子像を安置している。通常は奈良国立博物館に寄託されているため、今回拝観したものは複製であったと思われる。青不動明王像を拝観した後、宸殿南庭に出る。青々と照らし出された築地塀の内側には青色LEDが散在している南庭が広がる。全く光を受けていない右近の橘、左近の桜が、闇の中に完全に溶け込んでいる。その先に見える宸殿の開け放たれた開口からは暖色系の光が溢れているが、それ以外の建物の壁面や瓦屋根もまた漆黒の闇の中である。そして南庭に植えられた楠の巨木には白色光が当てられ、青い抽象的な空間の中に生命感を醸し出している。LEDの点滅のない相阿弥の庭や竹林が静的な雰囲気を湛えているのに対して、この宸殿南庭は寒色系の光を使用しているのにも関わらず、非常に動的な空間になっている。

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青蓮院門跡 本堂
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青蓮院門跡 楠の巨木

 そして南庭の先には、上空に向けて照射する四基の探照灯が配置されている。四本の光の柱は宇宙と大地を繋ぎ、その宇宙の姿を南庭に映し出しているように見える。青蓮院の公式HPには、本尊である熾盛光如来が、光そのものであり、その化身の不動明王も炎の光を背負っていると記している。

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青蓮院門跡 4本の光の柱

 この表現はワールドトレードセンターの追悼メモリアルを思い起こさせる向きもあるが、1934年ニュルンベルクのツェッペリンフェルトで行われた第六回ナチス等党大会におけるアルベルト・シュペーアの演出がどうしても思い起こされる。130とも150基とも言われる対空探照灯を使用したライトアップにより「光の大聖堂」が創り出された。この恐ろしくとも心を揺り動かされる演出は、レニ・リーフェンシュタールが製作した「意志の勝利」に記録されている。 もともとワールドトレードセンターの際にも同じような印象を感じていたし、演出の類似性に対する批判も出ていたことも知っている。残念ながらこの演出は未来永劫、ナチスの呪縛から解き放たれることがないと思う。

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青蓮院門跡
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青蓮院門跡 長屋門の内側

 夜間特別拝観のためか宸殿の西側に建つ御幸門は開門されている。その前を通り、長屋門を過ぎると出口に到着する。この後、知恩院の方向に神宮道を進むと、石段の上にライトアップされた御幸門が再び現れる。門に連なる石段が斜めに造られているのは珍しい例ではないだろうか?真直ぐに造られた石段は奥に入っていく気持ちを抱かせるが、この石段はイタリアの広場に続く階段のようにも見える。

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青蓮院門跡 御幸門
2008年5月16日撮影
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青蓮院門跡 御幸門

「青蓮院門跡 その4」 の地図





青蓮院門跡 その4 のMarker List

No.名称緯度経度
01  青蓮院 長屋門 35.0075135.7829
02  青蓮院 宸殿 35.0072135.7831
03   青蓮院 小御所 35.0071135.7834
04  青蓮院 華頂殿 35.0074135.7836
05   青蓮院 本殿 35.007135.7835
06  青蓮院 好文亭 35.0074135.7839
07  青蓮院 相阿弥の庭 35.0072135.7836
08   青蓮院 霧島の庭 35.0076135.7838
09  青蓮院 植髪堂 35.0079135.7833
10  青蓮院 御幸門 35.0073135.7828

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