嵯峨鳥居本の町並み その3
嵯峨鳥居本の町並み(さがとりいもとのまちなみ)その3 2008年12月21日訪問
渡月橋を7時45分に渡り、小督塚、小倉百人一首文芸苑を見て、嵯峨野の竹林に入り、野宮神社にお参りをする。嵯峨天皇皇女 有智子内親王墓と落柿舎の前を通り、去来墓と西行井戸と嵯峨小倉陵に立ち寄り、嵯峨鳥居本の重要伝統的建造物群保存地区に入る。保存地区を北に進み、一の鳥居に辿り着いたのが10時15分ということは2時間30分もかかってしまった。ヒデさんのHP名所旧跡めぐり 嵯峨野/愛宕街道を歩く(https://vinfo06.at.webry.info/201102/article_7.html : リンク先が無くなりました )の中で、「寄り道なしでも1時間弱、途中で社寺拝観などする場合は往復で半日」と記されていたが、もう少し余裕を持った方がよいのかもしれない。
愛宕神社の一の鳥居を挟んで、北に平野屋、南に「つたや」が並ぶ。ここは愛宕神社の門前町として発展してきたことが良く分かる。全国に約900から1000社あるとされている愛宕神社の総本社として山城国と丹波国の境にある愛宕山の山頂に、大宝年間(701~704年)役小角と泰澄によって創建されている。天応元年(781)に慶俊僧都と和気清麻呂によって中興され、愛宕山に愛宕大権現を祀る白雲寺を建立したと伝えられている。古くより比叡山と共に信仰を集め、火伏せ・防火に霊験のある神社として知られている。愛宕山は古くから修験道の道場となり、愛宕山に集まった修験者によって江戸時代中頃から、火防の神に対する神道の信仰すなわち愛宕信仰が日本全国に広められた。
明治期には参詣道の途中にいくつか茶店があり、疲れた客への甘味として、うるち米の粉を練った団子(しん粉)が振舞われ賑わったという。またWikipediaの愛宕神社によれば、昭和4年(1929)から昭和19年(1944)にかけて、京福電気鉄道嵐山本線の嵐山駅から神社の近くまでの参詣路線として、愛宕山鉄道の平坦線と鋼索線が連携して延びていた。現在の鞍馬寺や延暦寺と同じように参詣者を迎える交通網が完備していた訳だ。さらに愛宕山にはホテルや遊園地からスキー場までを完備した山上リゾート地となったとされている。
しかし戦時体制下、これらは撤去され、再び信仰の山に戻る。このため愛宕神社の参詣は、今もなお山麓の清滝や水尾から徒歩での登山が唯一の方法となっている。清滝のバス停から登り道で2時間、往復で4~5時間は参拝と言うよりは登山と考えるべきだろう。右京区嵯峨愛宕町の愛宕神社の東方に位置する右京区嵯峨清滝月ノ輪町の月輪寺、北区雲ケ畑の岩屋山志明院、左京区花背原地町の峰定寺そして西京区大原野石作町の金蔵寺など辺境の地に建つ社寺は幾つかあるが、公共交通網から最も離れた場所にあるのは、この愛宕神社であろう。今回は当然訪問する予定もないが、将来的にも困難なことは確かだ。
安永9年(1780)に刊行された都名所図会に掲載されている愛宕山の社には下記のように記されている。
愛宕山の社は王城の乾にして、朝日嶽白雲寺と号、一の鳥居より坂路五十町ありて、はじめに試の峠あり。清瀧川渡猿橋火燧権現は十七町目にあり。樒が原は北の麓にして、南星峯とは乾のかたの嶺をいふ。鉄の華表の額は表を朝日山、裏を白雲寺と書す。
上記のように愛宕神社の門前町あるいは茶屋は一の鳥居より先まで存在していたが、それらが無くなり参拝道には休憩所やベンチのみになったため、この「つたや」と平野屋が最後の茶屋となっている。この2つの店では鮎料理が供されるが、それ以外にも「つたや」では桜餅、平野屋では志んこが出される。茶屋だった時代の名残だろう。これらの店の明らかな歴史は分からないが、400年位の歴史を持つとされている。
「嵯峨鳥居本の町並み その3」 の地図
嵯峨鳥居本の町並み その3 のMarker List
No. | 名称 | 緯度 | 経度 |
---|---|---|---|
嵯峨鳥居本01 | 35.0254 | 135.6679 | |
嵯峨鳥居本02 | 35.0256 | 135.6679 | |
嵯峨鳥居本03 | 35.0258 | 135.6676 | |
嵯峨鳥居本04 | 35.0261 | 135.6672 | |
嵯峨鳥居本05 | 35.0263 | 135.6669 | |
嵯峨鳥居本06 | 35.0263 | 135.6667 | |
嵯峨鳥居本07 | 35.0265 | 135.6663 | |
嵯峨鳥居本08 | 35.0267 | 135.666 | |
嵯峨鳥居本09 | 35.0268 | 135.6657 | |
嵯峨鳥居本10 | 35.027 | 135.6653 | |
嵯峨鳥居本11 | 35.0272 | 135.6648 | |
嵯峨鳥居本12 | 35.0277 | 135.6638 | |
嵯峨鳥居本13 | 35.0281 | 135.6629 | |
嵯峨鳥居本14 | 35.0284 | 135.6625 | |
嵯峨鳥居本15 | 35.0286 | 135.6624 | |
01 | ▼ 嵯峨鳥居本 八体地蔵 | 35.0256 | 135.6679 |
02 | ▼ 嵯峨鳥居本 北條別邸 逍遥遊 | 35.026 | 135.6673 |
03 | ▼ 嵯峨鳥居本 化野念仏寺入口 | 35.0269 | 135.6655 |
04 | ▼ 嵯峨鳥居本 くずや | 35.0272 | 135.6648 |
05 | ▼ 嵯峨鳥居本 町並み保存館 | 35.0278 | 135.6639 |
06 | ▼ 嵯峨鳥居本 陸橋 | 35.0277 | 135.6637 |
07 | ▼ 嵯峨鳥居本 つたや | 35.0283 | 135.6626 |
08 | ▼ 嵯峨鳥居本 一の鳥居 | 35.0284 | 135.6624 |
09 | ▼ 嵯峨鳥居本 平野屋 | 35.0285 | 135.6623 |
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