炭屋旅館 その3
炭屋旅館(すみやりょかん) 2008/05/14訪問
主室は8畳間、右手窓側に床の間が造られている。畳敷きの床の間には掛け軸が掛けられ、丸い盆の上に載せられた花器にはお花が生けられている。床の右側は床脇となっており、棚が設えてある。この棚の前に置かれた台の上に電話機がある。床脇の棚の右手にはクロークとなっており、浴衣が用意されている。床の間の正面の壁の腰には、文字の書かれた紙が貼られている。近づいて読むと安宅の謡本であることが分かる。小舞を組んだ窓の下から始まり、床の間と床脇を除いてほぼ主室の中を一周している。もともと長押のない部屋であるため、これを除くと床の間の正面の壁には何も施されていない。ただ小さなテレビとファンヒータが板敷きに置かれているだけである。天井も簡素に角材の竿縁天井で仕上げられている。
窓面には、小舞を組んだ窓の他に障子が3枚入っている。さらに欄間の部分には明かり取りとして2枚の障子が入っている。こちらの裏側には小舞が組まれている。
主室の先には畳敷きの間が続き、その先に坪庭が造られている。それ程奥行きはなく、瓦屋根の土塀の先は別の部屋の庭となっているようだ。また2階からの視線を防ぐため簾が吊られている。左手には三面鏡を付けられた机、右手には布団を収納する押入れがある。応接セットが置かれていないので広々としている。日本人だからかも知れないが、わざわざ小さな椅子とテーブルを置くよりも、何もしないで畳を敷いてくれる方がありがたい。この部分の天井は角材の竿縁天井、照明器具は天井裏に仕組まれているため、表に形を現していない。
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