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平安京の条坊 その2



平安京の条坊(へいあんきょうのじょうぼう)その2

画像
平安京の条坊 平安神宮 2008年5月12日撮影

 GoogleMap上に平安京の条坊を復元するためには、各坊の頂点の緯度経度を求めることとなる。しかし後述するように造営方位の座標変換が必要となるため、下記の手順で座標変換を行った後に一括して緯度経度に変換することとした。

     1 朱雀大路心と四条大路南築地心の交点を
       原点とした造営尺座標系の条坊
     2 造営座標系からメートル座標系への変換
     3 造営方位の回転移動
     4 平面直角座標系への変換
     5 緯度経度の算出

 まずは朱雀大路心と四条大路南築地心の交点を座標の原点とした各坊の頂点を造営尺系で作成する。「延喜式」の京程には大路小路の幅員が記述されているので、大路小路に囲まれる各坊の頂点の座標を算出できる(1)。平安京の外郭ラインは一条大路の北限まで847丈、九条大路の南限までがー904丈。東京極大路の東限が754丈、西京極大路の西限がー754丈となる。これらに造営尺の1丈=10尺=2.9846668メートルを掛けたものが条坊のメートル系座標となる(2)。
 次に造営方位による回転移動の1次変換を行う。原点、すなわち朱雀大路心と四条大路南築地心の交点を中心として反時計回りにθ=14分27秒の回転を行う。14分27秒を十進法に換算すると0+(14×60+27)÷3600=0.2408333度となる。点(x,y)を原点の周りに角
θだけ回転して移動した点(x’,y’)は下記のように求められる。

     x’=xCOSθ―ySINθ
     y’=xSINθ+yCOSθ

 各坊の4頂点に対して、上記の変換を行うと西に14分27秒傾いた造営方位に従ったメートル系座標に変換される(3)。このメートル系の朱雀大路心と四条大路南築地心の交点を原点とした条坊を平面直角座標系の上に載せることが次の課題であるが、ここで2つの注意すべき点がある。1つ目は「平安京提要」の座標が日本測地系を採用していること。2つ目は日本の平面直角座標系のx軸が垂直方向に上の方向を正の向きとする左手系となっていることである。

朱雀大路心と四条大路南築地心の交点

 前述のように京都府が含まれる平面直角座標系はⅥ類で北緯36度0分0秒、東経136度0分0秒を座標系原点としている。条坊算出の原点としている朱雀大路心と四条大路南築地心の交点 X=マイナス110,862.52メートル、Y=マイナス23,233.31メートルをそのまま国土地理院の測量計算サイト緯度、経度への換算に入力すると、北緯35°00‘01.51080“ 東経135°44’43.618616”の地点を返してくる。これは仏光寺通坊城東入ルの南あたりで、四条通千本の交差点から3~400メートル東南の場所となる。そこで上記の測量計算サイト内の世界測地系座標変換 (TKY2JGD)を使用して平面直角座標の日本測地系から世界測地系へ変換を行う。補正後の座標はX=マイナス110,515.8323メートル、Y=マイナス23,493.9421メートルとなり、四条通千本の交差点の西南角のあたりを示すようになる。この補正後の数値を使用して坊の各頂点を平面直角座標上に載せることとなるが、ここで左手系であることを思い出さなければならない。つまり平面直角座標のXに条坊のy座標、Yにはx座標を加えなければならない(4)。これを行わないと90度回転した条坊が出来上がってしまう。
 このようにして求めた南北38坊、東西32坊から内裏部分を除いた1136坊×4の平面直角座標を緯度、経度への換算の一括計算を使用して変換し(5)、GoogleMap上で表示するためのXMLを作成すれば出来上がり。
平安京提要に従って作成した平安京(https://visual.information.jp/Map/MapPos900-900.htm?35.0009806651632065?135.74263393878937?14?../Map/Blog/heiankyou_joubou001427.xml : リンク先が無くなりました )←クリックすると拡大
3つの平安京外郭線の比較(https://visual.information.jp/Map/MapPos900-900.htm?35.0009806651632065?135.74263393878937?14?../Map/Blog/heiankyou_joubou3.xml : リンク先が無くなりました )←クリックすると拡大灰色:最初に作成した平安京   

 最初に作成した平安京は論外として、造営方位=0と造営方位マイナス14分27秒の差は、一見すると大きなもののようには感じないが、下記のような詳細を見てみるとその差は歴然となる。左京九条一坊には、平安京造営時から存在する東寺がある。東寺の築地の位置は造営時からほぼ変わっていないと思われる。造営方位=0であると現在の五重塔に接するように築地が建てられていたこととなる。また東寺の東西の中心線となる現在の櫛笥通かつての櫛笥小路であり、現在の道幅は造営時の4丈を保っているとされている。赤色の条坊は櫛笥通にほぼ一致している。

青色:平安京提要に従った平安京 

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平安京の条坊 平安神宮 2008年5月12日撮影

赤色:平安京提要に従った平安京 

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