哲学の道
哲学の道(てつがくのみち) 2008年05月17日訪問
岡崎神社の境内から丸太町通に出て東に進むと、白川通と丸太町通の交差点・天王町に出る。そのまま丸太町通を少し上ると鹿ケ谷通が現れ、丸太町通はここで終わる。この鹿ケ谷通を南に下り、永観堂禅林寺の手前を東に入ると正面に若王子橋が現れる。ここが哲学の道の南の端となる。
哲学の道は、南の熊野若王子神社から始まり、北は銀閣寺まで続く疎水に沿った約1.5キロメートルの散歩道である。かつて西田幾多郎がこの道を散策しながら思索にふけったことから名がついたと言われている。当初は思索の小径と呼ばれていたようだが、西田幾多郎の愛弟子田辺元や三木清らも好んでこの道を散策するようになり、いつしかドイツにある哲学者の道にちなんで哲学の道と呼ばれるようになった。哲学の道開通式については昭和45年(1970)11月と昭和47年(1972)3月の2つの記述がHP上にある。前者は伏見区役所総務課、後者は上下水道局といずれも京都市の組織である。疎水を管理している上下水道局の歴史のほうが正しいようにも思えるが、いずれにしてもこの時期に散策路が整備され、正式に哲学の道となったのだろう。
昭和61年(1986)道の日の制定を記念して建設省と「道の日」実行委員会により選定された「日本の道100選」に、札幌大通り、東京の中央通り、横浜の山下公園通り、御堂筋などとともに京都市内唯一の道として、哲学の道が選ばれている。ちなみに100選と銘は打っているが、実際には104本の道路が選ばれている。
哲学の道には桜が植えられ、春は花見の名所となっているが、これは白沙村荘に制作の拠点を置いていた橋本関雪の夫人が大正年間に京都市に寄贈したのに始まるとされている。当初の木は樹齢が尽き、植え替えられ現在に至っているが、今でも関雪桜と呼ばれている。
琵琶湖疏水については、既に南禅寺水路閣の項で触れているので、ここでは概略だけにする。
明治14年(1881)第3代京都府知事に就任した北垣国道は,京都の産業振興を目的として、水運、灌漑、上水道、そして水車による動力に利用できる疎水の開鑿を計画した。そして明治16年(1883)現在の東京大学工学部の前身に当たる工部大学校を卒業したばかりの田邉朔郎を主任技術者に任じ設計監督にあたらせた。
琵琶湖疎水は、第1疎水と疏水分線(明治18年(1885)着工 明治23年(1890)竣工)、鴨川運河(明治25年(1892)着工 明治27年(1894)竣工)、第2疎水(明治41年(1908)着工 明治45年(1912)竣工)の4つの部分で構成されている。
哲学の道を流れる疎水は疎水分線と呼ばれている。蹴上にある合流トンネルから始まり、南禅寺トンネルから南禅寺の境内を水路閣でまたぎ、永観堂の東側を隧道で抜け、熊野若王子神社から慈照寺の間は西側を通り北進する。その後今出川通と並走し、白川通の少し先で再び北進し白川疏水通と並走する。高野川を渡り松ヶ崎浄水場の南縁から南西へ方向を変え下鴨中通で開渠区間は終わり、賀茂川以西は紫明通の下を進み、小川頭(現在の紫明通小川)を終点とし、堀川に合流している。
これらの工事は上記の通り第1疎水の着工とともに行われ、明治23年(1890)竣工している。本来の開発目的であった水運、灌漑、上水道そして水車による動力から、上水道として利用に絞られたが、竣工後100年経って、当初は考えてもいなかった観光資源としての価値が最も大きくなったと言えるのではないだろうか。
哲学の道沿いには、南側から熊野若王子神社、大豊神社、霊鑑寺、安楽寺、法然院、慈照寺と続くため多くの観光客で賑う。今回訪れたのが、土曜日の朝8時頃だったお陰で近くに住んでいる方の散歩に行き当たる程度であった。
「哲学の道」 の地図
哲学の道 のMarker List
No. | 名称 | 緯度 | 経度 |
---|---|---|---|
哲学の道01 | 35.0159 | 135.7958 | |
哲学の道02 | 35.0168 | 135.7959 | |
哲学の道03 | 35.0172 | 135.796 | |
哲学の道04 | 35.0173 | 135.796 | |
哲学の道05 | 35.0174 | 135.7959 | |
哲学の道06 | 35.0174 | 135.7959 | |
哲学の道07 | 35.0175 | 135.7957 | |
哲学の道08 | 35.0176 | 135.7955 | |
哲学の道09 | 35.0179 | 135.7952 | |
哲学の道10 | 35.0185 | 135.7947 | |
哲学の道11 | 35.0188 | 135.7945 | |
哲学の道12 | 35.019 | 135.7943 | |
哲学の道13 | 35.0191 | 135.7942 | |
哲学の道14 | 35.0193 | 135.7941 | |
哲学の道15 | 35.0195 | 135.7939 | |
哲学の道16 | 35.0197 | 135.7939 | |
哲学の道17 | 35.0199 | 135.7939 | |
哲学の道18 | 35.0202 | 135.7938 | |
哲学の道19 | 35.0205 | 135.7939 | |
哲学の道20 | 35.0211 | 135.794 | |
哲学の道21 | 35.0214 | 135.7941 | |
哲学の道22 | 35.0215 | 135.7942 | |
哲学の道23 | 35.0217 | 135.7943 | |
哲学の道24 | 35.0219 | 135.7944 | |
哲学の道25 | 35.0221 | 135.7944 | |
哲学の道26 | 35.0222 | 135.7946 | |
哲学の道27 | 35.0223 | 135.7947 | |
哲学の道28 | 35.0225 | 135.7949 | |
哲学の道29 | 35.0227 | 135.7952 | |
哲学の道30 | 35.0228 | 135.7955 | |
哲学の道31 | 35.023 | 135.7957 | |
哲学の道32 | 35.0231 | 135.7958 | |
哲学の道33 | 35.0232 | 135.7959 | |
哲学の道34 | 35.0233 | 135.796 | |
哲学の道35 | 35.0235 | 135.7961 | |
哲学の道36 | 35.0236 | 135.7961 | |
哲学の道37 | 35.0238 | 135.7962 | |
哲学の道38 | 35.024 | 135.7963 | |
哲学の道39 | 35.0241 | 135.7963 | |
哲学の道40 | 35.0243 | 135.7963 | |
哲学の道41 | 35.0245 | 135.7963 | |
哲学の道42 | 35.0247 | 135.7963 | |
哲学の道43 | 35.0249 | 135.7962 | |
哲学の道44 | 35.0252 | 135.796 | |
哲学の道45 | 35.0254 | 135.7958 | |
哲学の道46 | 35.0256 | 135.7957 | |
哲学の道47 | 35.0257 | 135.7956 | |
哲学の道48 | 35.0259 | 135.7955 | |
哲学の道49 | 35.0261 | 135.7954 | |
哲学の道50 | 35.0264 | 135.7954 | |
哲学の道51 | 35.0265 | 135.7954 | |
哲学の道52 | 35.0266 | 135.7954 | |
哲学の道53 | 35.0268 | 135.7953 | |
哲学の道54 | 35.0269 | 135.7952 | |
哲学の道55 | 35.0271 | 135.7951 | |
01 | ▼ 熊野若王子神社 | 35.0157 | 135.7961 |
02 | ▼ 南禅寺 光雲寺 | 35.0169 | 135.7951 |
03 | ▼ 大豊神社 | 35.0183 | 135.7961 |
04 | ▼ 霊鑑寺 | 35.0206 | 135.7963 |
05 | ▼ 安楽寺 | 35.0216 | 135.7965 |
06 | ▼ 法然院 | 35.0239 | 135.7974 |
07 | ▼ 櫻本陵 | 35.022 | 135.7953 |
08 | ▼ 慈照寺 | 35.0265 | 135.798 |
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